オニヒトデ毒によるエピペン処方の説明会
 2012年6月6日  宮古病院にて。

昨日、県立宮古病院でダイバーのオニヒトデ刺傷に伴うアナフィラキシー治療薬エピペンの処方対象者について
説明会を開催していただきました。出席者は県立宮古病院院長、副院長、医療安全管理委員会委員長本永先生、
内科田中先生、ダイビング側から宮古島美ら海協議会事務局、そして美ら海の所属4団体の会長。

きっかけは、今年4月に我々の組合員の仲間がオニヒトデに刺されアナフィラキシーの重大事故が起きたことでした。
その為、急速にアナフィラキシーに対する注意喚起がなされるようになり治療薬・エピペン処方の対象者への説明会を開いていただきました。

以下全文

「エピペン」の効果/効能は、「蜂毒、食物および薬物等に起因するアナフィラキシー反応に対する補助治療」であり
処方対象となる患者は「アナフィラキシーを起こした事がある、または起こす可能性が高い」患者です。

「アナフィラキシー」とは原因物質接触後、殆ど数分以内に発症する致命的なアレルギー反応であり、以下に示す症状を呈します。

「呼吸困難、呼吸停止、鼻炎、昏睡、結膜充血、血圧低下、心停止、唇の腫れ/痺れ感、吐き気、嘔吐
、腹痛、下痢、蕁麻疹(一部または全身)など」

アナフィラキシーの症状は非常に多彩であり、全ての症状が1度に出るわけではありません。

「非医療従事者」が、「これまでアナフィラキシーを一度も発症したことがない方」を、「その場でアナフィラキシーと診断すること」は
きわめて困難であり、本症の診断は医師の問診および診察が必要となります。

且つ、「エピペン」に含まれている「アドレナリン」は劇薬に指定されており、急速に血圧を上昇させる作用があるため、不整脈や呼吸困難、
心停止を起こす可能性があります。したがって「エピペン」投与の対象者となるのは、養蜂業の方か、医師の診断によりアナフィラキシーの
可能性が高いと診断された方に限られます。上記のように、これまでアナフィラキシーと診断された事の無い方に、非医療従事者が自己判断で
「エピペン」の筋肉注射を行う事は大変危険であり、傷害罪に問われる場合もあります。

以上の事から、一般に「エピペン」処方を行うのは「アナフィラキシーを起こした事がある、または起こす可能性が高い」患者に限定されています。

尚、「エピペン」使用予定患者に対しては医師による問診、DVDによる講習、使用上の注意に関する説明を行い、同意書での合意を得た上で、
処方する流れです。

もし、ダイビング従事者にも、過去にオニヒトデに刺されその様な症状が出た事のある方は必ず医者の診察を受けるようにとの事です。

後記

今、宮古島、石垣島でもオニヒトデの異常発生が起こっています。その為、オニヒトデ駆除は欠かせません。

うちの宮古島ダイビング事業組合では事故の報告後、即、従来のオニヒトデ駆除の方法にストップを掛けました。

従来の方法・・県の予算をもらうには先ず採補したオニヒトデを陸揚げし大きさ、個体数などのデータを作らなければなりません。
その方法だと船に揚げるとき刺されるリスクが非常に高く危険です。

それで、我々の組合では酢酸注射と私が考えた方法(土嚢袋に入れ水中放置)です。いかにオニヒトデとの接触を避けるかに、重点を置きました。

酢酸注射でも土嚢袋に入れての放置方法でもメリット、デメリットはあります。が、しかし我々の宮古島ダイビング事業組合ではオニヒトデ駆除は
サンゴを守るために行うわけではありません。その次元はとうに過ぎ、今は、人の命を守る為、我々の生活守る為をモットーに行っています。

今、オニヒトデは沖縄から徐々に北上しているとの話を聞きます。駆除の際は十分に気をつけて、もう二度とあのような事故が
起こらないように祈っています。